イベントスチル

    イベントスチル02

       
    よっしゃ、JJ! きちんと掴まっててな!
       
      そう言い終わらないうちに、橘はバイクのアクセルを全開にした。
    宇賀神の説明によれば、今日の夜にも勇狼会で何らかの取引があり、瀬戸が動きを見せる可能性があるらしい。
       
    JJ お、おい……!
       
      一瞬面食らうが、俺は橘に従った。
    低いエンジン音が唸る。すぐに風切音が耳元に響いた。
    俺は感心して、橘を眺めた。
       
    JJ しかし、お前も免許なんて持ってたんだな。まさか偽造免許じゃないだろうな?
       
    アホ! ちゃんと試験に合格したんやって! お前と一緒にすんな。
       
    JJ 失礼だな……それより、急ぐんだろ?
       
    ああ、飛ばすで……しっかり掴まっとき!
       
      バイクは潮風を左右に裂いて、海辺の道を飛ばしていく……
       
    JJ (それにしても…………)
       
      ふと俺は、目の前にある橘の背を眺めた。
       
    JJ (こいつの背中……こんなにデカかったんだな)
       
      二ヶ月程度しか離れていないはずなのに、妙に目の前の背を意識してしまう。
    これが、俺達にとって最後となる殺しの仕事だからか……それとも……
    そこまで考え、俺は人知れず、風切音の中に溜め息を零した。
       
    JJ (やれやれ、感傷的になるなんて、らしくないな……これから、こいつと二人、一仕事待っているっていうのに)
       
      そう思いつつ、俺は橘の胴に回した腕に、少しだけ力を込めた。