橘 | よっしゃ、JJ! きちんと掴まっててな! |
そう言い終わらないうちに、橘はバイクのアクセルを全開にした。 宇賀神の説明によれば、今日の夜にも勇狼会で何らかの取引があり、瀬戸が動きを見せる可能性があるらしい。 |
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JJ | お、おい……! |
一瞬面食らうが、俺は橘に従った。 低いエンジン音が唸る。すぐに風切音が耳元に響いた。 俺は感心して、橘を眺めた。 |
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JJ | しかし、お前も免許なんて持ってたんだな。まさか偽造免許じゃないだろうな? |
橘 | アホ! ちゃんと試験に合格したんやって! お前と一緒にすんな。 |
JJ | 失礼だな……それより、急ぐんだろ? |
橘 | ああ、飛ばすで……しっかり掴まっとき! |
バイクは潮風を左右に裂いて、海辺の道を飛ばしていく…… | |
JJ | (それにしても…………) |
ふと俺は、目の前にある橘の背を眺めた。 | |
JJ | (こいつの背中……こんなにデカかったんだな) |
二ヶ月程度しか離れていないはずなのに、妙に目の前の背を意識してしまう。 これが、俺達にとって最後となる殺しの仕事だからか……それとも…… そこまで考え、俺は人知れず、風切音の中に溜め息を零した。 |
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JJ | (やれやれ、感傷的になるなんて、らしくないな……これから、こいつと二人、一仕事待っているっていうのに) |
そう思いつつ、俺は橘の胴に回した腕に、少しだけ力を込めた。 | |