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――と、梓の視線が男の懐に移った。小鳥のくちばしが見えたからだ。
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梓
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その小鳥……
よく見ると、それは白い文鳥だった。目を閉じたまま、微動だにしない。 |
男 |
ああ、死んでいる |
梓 |
……どうして? |
男 |
逃げている時に……誤って潰してしまった |
文鳥の首は不自然な方向に折れていて、その最期が痛みの伴うものだったのだと梓にも分かった。 しかし、男は何から逃げているのだろうか……梓は少し不安になる。 だが、悲しげな男の表情を見て、梓は黙った。
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