その日の夜、瀬戸は仕事帰りの梓に声をかけた。 | |
瀬戸 | 遠野、今日は飲むぞ! 大いに喜べ、この辺りで一番上等な店に連れていってやる! |
そう言って瀬戸が案内した店は、バラックのような作りだったが、確かにこの辺りでは上等な店だ。 | |
梓 | 今日は、屋台じゃないんだ? 何かのお祝い? |
瀬戸 | ああ。遅くなったけどよ……ま、お前の歓迎会だ。 たまには、いいメシ食おうぜ。屋台ばっかじゃ、力も出ないしよ。 |
梓 | あ、ああ……ありがとう。 |
個室になっている部屋で大きなテーブルを囲む……馴染みの店なのか、瀬戸は慣れた様子で注文していく。 | |
瀬戸 | オヤジ、ビール全員にジョッキで。 あと、パイナップルの炒飯と、茄子のスパイシーサラダと、エビのグリーンカレーね。 |
梓 | おい……随分食べるんだな。 |
瀬戸 | 当然だろ。俺らは一日、肉体労働してんだからよ。おい……水、まだかよ! |
そう言いながら、瀬戸はしきりに周囲を見回す。 | |